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【『ノモンハン : 見下ろす神、地を這う神』 第七十二回】 [ノモンハン考]

☆これから記していく、<ノモンハン事件>従軍兵士の美談の数々は、旧仮名遣いや非常用漢字で書かれている。

なるべく原文に忠実に書いていくが、どうにも読めなかったり、変換できなかったら、私が意訳する。

それが、現代に生きる私の役割だと思って欲しい。

では、『ノモンハン :地を這う神々の境地』、行きます!!

          20080721175812[1] (2)[ノモンハン美談録・2].jpg

   ◇   ◇

 第一柱   陸軍大尉 <岩男 登>

     「立派な死に場所を得よ」

「立派な死に場所を得よ」

 これは、岩男中尉がいつも部下にいふ言葉であつた。

 眼路もはるかな大草原に、塁をかまへて敵味方対峙したまま幾日かが過ぎた。

「明日夜明けを期して敵陣地に突撃」の命令が、部隊本部から下つた。その先頭を承はるのが岩男隊であつた。

 手ぐすねひいて待ち明かした一隊は、ほのぼのと明けかかる頃、本隊からの狼煙の合図と同時に疾風のやうに走り出した。

 早くも見て取つた敵陣は一斉に銃口を開いて、弾丸は玉すだれのやうにつづけざまにとんできた。一物の遮蔽もない平地である、一時前進不能に陥つた。

「右手の斜面へ避けツ」

 中尉は軍刀をふるつて叫んだ。部下はなだれのやうに斜面へ走り込む。中尉もつづいて嶮しい傾斜を、砂を蹴立ててかけくだる途中、敵弾にあたつて倒れたまま崩れ落ちる砂に誘はれて遥か下まで持つてゆかれた。

「隊長殿」

 かけ寄つた山野軍曹も、途端に足首をやられた。けれども豪気の軍曹は隊長を肩にかついで、不自由な足を運ばせ、そばの凹地まで運んだ。兎に角服を脱がせて見ると、腹部をはじめ全身数箇所に負傷してゐる。

「隊長殿」と、呼んでも答へがない。

 再び附近砲弾が破裂して、爆煙が揚つたと思ふと、土砂がふりかかつてきた。と・・・中尉は両眼を見ひらいた。

 左右から声をかけると、唇が動いた。

「俺はよい……往け……部下が苦戦しとるぞ」

 苦しい息の下から力をこめていひ出す言葉は、部下のことと戦闘のことだけである。いひながら顔色は次第に蒼白くなつていつた。

「天皇陛下万歳」 はつきりさういつた。さうして「りつぱな……死場所……」とつづけたが、首を垂れてしまつた。

 三人の部下は前後左右から、中尉の身体を抱きかかへるようにした。

「ああ、いつものお言葉通り、ごりつぱな死場所であります」 さういふ三人の眼に、一度に涙があふれてきた。

   ◇   ◇

岩男大尉が、文中で中尉であるのは、戦死によって一階級特進したからなのですね。

現在の感覚では、それは意味のないことのように思えましょうが、この頃は、それが、生きている時に遡及する「栄誉」なのである。

                                                          (2008/07/22)
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コメント 2

岩男登の孫

自分の祖父がブログに・・・びっくりしました。
正直うれしいです。
いつかノモンハンに行ってみたいと思っています。
ありがとうございます。
by 岩男登の孫 (2009-08-28 19:05) 

想像湧水

こんにちわ^^

そうですか!

岩男大尉のお孫さんですか。

私、感無量で、身体に鳥肌が立ってます。

お役に立てて最高に嬉しいです。

>>いつかノモンハンに行ってみたいと思っています。

私も連れて行ってください!
by 想像湧水 (2009-09-01 01:55) 

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