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【『ノモンハン : 見下ろす神、地を這う神』 第九十四回】 [ノモンハン考]

☆では、『ノモンハン :地を這う神々の境地』です。

   ◇   ◇

 第二十七柱 陸軍上等兵 <伊藤 金蔵>

 第二十八柱 陸軍上等兵 <長尾 金三郎>

 第二十九柱 陸軍一等兵 <坂下 重夫>


    「空襲下の戦友愛」

 敵地上部隊第一線と指呼の間に進出し、僅か十名に足りぬ人数で敵の航空情報を味方に速報する監視哨の任務は、他の如何なる任務にも劣らず不撓不屈の精神を必要とする。それだけに、同一監視哨に服務する戦友達は、互ひに肉親愛以上の友愛で結びつけられ、一本の煙草も一滴の水も必ず全員で分け合ふやうな間柄だつた。

 七月七日敵第一線との距離僅かに二粁のノロ●(分からない字、でも、なくても文脈に支障なし)七〇三高地に開設された家本軍曹以下の第十五監視哨は、同月二十八、九日頃敵機の偵察に発見され、三十日払暁から敵戦闘機隊の猛襲を蒙つた。

 だが、監視哨航空兵七名援護歩兵十五名はこれに対して果敢な反撃をくりかへし、その都度これを撃退した。やがて、大陸の巨大な太陽が、硝煙たてこめるホロンバイル平原の地平に没しようとする十九時三分、敵はNTI十六戦闘機を始め五十数機の大編隊を以つて、一挙監視哨を粉砕せんと襲来した。

 対空射撃は息つくひまもなくつづけられたが、数をたのむ敵機は五六百米の低空に舞ひ下り、三方から監視哨の天幕を襲つて来る。天幕は機銃弾の驟雨に射抜かれ、その中で必死に電信を打ちつづける主通信兵伊藤上等兵は危険に瀕した。

「伊藤上等兵、中へ入れ!」 叫びざま天幕の中へをどり込んだのは、今まで天幕の外で敵機を監視してゐた長尾上等兵だ。

 が、伊藤上等兵はわき目もふらず基地への連絡をとつてゐる。

「早く、早く! あとは俺がかはる!」

 戦友の身を危ぶんで、長尾上等兵は伊藤上等兵にかはらうと云うのだ。

「貴官こそ早く出ろツ、此処は危険だ!」

 思ひは同じ伊藤上等兵、いつかな電鍵を放さうとしない。長尾上等兵はやむなく傍にあつた坂下一等兵と協力すると、発電機の転把をとつて回転させ、発電に奮闘した。

 轟々と空を●(「厭」の下に「土」)する爆音、雨と降る機銃弾の下に、状況は基地へ完全に報告され、やがて三人は無線機材を防空壕へ運び入れ、人員機材とも奇跡的に異常なく、無事に重大任務は果された。

   ◇   ◇

舞台となるノロ高地は、大激戦地である。

戦中最大のベストセラー、草葉大尉の著した『ノロ高地』に詳しい(近日、その内容を報告します)。

私は、今回、この話を読み始めたとき、主人公の3人が戦死してしまうのかと思って読み進めた。

しかし、結果は、少なくとも、この戦闘においては、3人は生き抜いた。

・・・だが、草葉栄大尉の弟・草葉宏中尉はノモンハンの地で戦死している。

その話もまた、この『ノモンハン美談録』に収録されており、後日、語りたいと思う。

                                        (2008/10/19)
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