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【『ノモンハン : 見下ろす神、地を這う神』 第百五回】 [ノモンハン考]

☆・・・では、『ノモンハン :地を這う神々の境地』です。

   ◇   ◇

 第三十八柱 山縣部隊 <飯田小隊>

    「短剣にて敵中に突入」

 八月二十四日以来、要衝「ノロ高地」を占領中だつた大隊は、いつのまにか、敵狙撃兵二個師団、戦車装甲車数百両の大軍に包囲され、孤立に陥つてしまつた。

 この時、中隊指揮班東方四百米の地点死守を命ぜられたのは、飯田機関銃小隊であつた。

 越えて八月二十六日    兵たちが一升瓶と呼んでゐる十五糎榴弾を初め各種の敵砲弾は、相変らず雨霞と降り注いでゐる。その中で監視中だった一射手は、ふと、糧秣運搬の敵自動車一両が、我が陣地前を進行してゐるのを発見した。

 その報告をうけた飯田小隊長は、部下を指揮して敵自動車ができるだけ近距離に近づくまで待機せしめ、陣地前約六十米まで進んできた時、

「射て!」 号令一下、部下は忽ち敵自動車に向つて強襲火を浴びせかけた。

 不意を喰つた敵運転手及び乗員十五名は、見る間にバタバタと倒れ、全滅してしまつた。

 と、間もなく、今度は地形偵察の敵軽装甲車が一両現はれ、前に叩きのめされた自動車と乗員を発見、その死体を収容しようと敵兵が下車したところを、これまた猛射を送つたので、慌てふためいた敵は二名の死傷者をうち棄てて闘争してしまつた。

 翌二十七日の未明、敵はまたまた重戦車六両、狙撃兵約二百名を以つて、小隊の陣地に逆襲してきた。

 隊長は部下に命じて、なるべく味方の陣地を敵にさとられないやうにして待機せしめたが、敵は小隊陣地に向つて、盛んに重砲、戦車砲、機関銃の集中火をあびせ、大膽にも二十米の地点まで迫つてきた。

 この時、戦車の後方にあつたソ軍自慢の狙撃兵約百五十名が、突如、手榴弾を投げながら、

「ウラー、ウラー!」と喊声をあげて突撃してきた。

 が、突撃は皇軍が本家だ。われもまた手榴弾を提げて勇躍応戦、ここに凄じい手榴弾戦が展開された。

 炸裂また炸裂・・・・・・我が方にも敵手榴弾に倒れる者があつたが、敵は更に多数を倒され、初めの勢ひはどこへやら、多数の兵器と死体を棄てて敗退してしまつた。

 残員わづか九名の小隊は、全くの苦戦に陥り、今は全滅を覚悟するほかなくなつた。

「全滅を期して突撃ツ!」

 飯田小隊長は、悲壮な号令を下し、自ら真っ先に白刃を揮つて敵中に突入した。全員も右手に帯剣をひき抜き、左手に手榴弾を握つて、ワーツとばかり突つ込んだ。

 中にも、加藤美利太郎上等兵をはじめ二名の兵は、大胆不敵にも敵の背後に廻りこみ、阿修羅の如く短剣をふり廻して、当るを幸ひ斬りまくつた。

 その気迫に圧倒されたか、さしもの敵兵もつひに多数の兵器、死体を遺棄して潰走してしまつた。

 が、加藤上等兵は、側面から集中した戦車砲弾のために、つひに壮烈な戦死を遂げた。

「加藤、・・・・・・見ろ、敵は撃退されたぞ!」

 奇跡的に生き残つた隊長初め戦友たちは、倒れた部下戦友を抱き起して、涙の報告をしたのであつた。

 わづか九名の機関銃小隊が、白兵戦に於てかくも大殊勲をたてた勇猛さ    これこそ皇軍の真髄を発揮したものである。

   ◇   ◇

 パワフルな描写は赤字にしてみました。

 「ノロ高地」と「山縣部隊」については、次回に書きます。

 現在の常識で考えると、戦争における「過酷」な状況を赤字にして強調するなど、不謹慎なように思う方もいるかもしれないが、戦争について自らの体験として考えたり、こうして、先頭記述の「写経」の如き行いをしていると、次第に自分の中に、実体験をした軍人たちの、数パーセントに過ぎないのだろうが、その思いが理解できてくるのだ。

 「戦争」を悲惨事ではなく、「勝負ごと」とさえ感じていた時代の空気を得られたとき、

 私は、「短剣をふり廻して、当るを幸ひ斬りまくつた」などという表現に快哉を叫ぶのだ。

 軍人は、「少年ジャンプ」のバトルマンガのヒーローの如き扱いをされていた時代なのである。

                                                (2009/02/27)
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